17年目に突入。
社会人になり、17回目の春を迎えた。
17年前、なにを考えていたんだろうなぁ、と思い出してみる。
3月の頭に国家試験が終わって、自己採点ではギリギリ合格していることはわかった。
でも、4月から何をするかが決まっていなかった。
国家試験の勉強に集中するために、途中で就職活動を諦めていた。
だから就職先が決まっていなかった。
漠然とした不安はあったけれど、そこまで深刻には考えていなかった。
国家試験から1週間くらい経ったときだったと思う。
どうしようかなぁ、と家でテレビを見ながらゴロゴロしていた。
「大学から電話だぞ」
生化学を教えてもらった教授からのようだけど、直接話したことはない先生だった。
電話なんて、何の用だろう?
ドキドキしながら電話に出ると
「就職はまだ決まってないだろう?」
「あぁ、はい」
「小牧にある会社なんだけど、行ってみないか?」
「あ、わかりました」
ほんの10分くらいの電話で、会社の場所を聞き、よくわからないまま面接を受けに行った。
まったく行ったことのない場所へ行くことの不安。
どんなところかもわからない不安。
いろんな不安を抱えながら、会社を訪れた。
「社長は、今日はいないんだけど」
と、専務と部長が面接をしてくれた。
選考するという面接ではなく、就職決定後の説明、みたいな面接だった。
4月から来てもらうことはできるか、車で通勤できるか、夜遅い勤務になることもあるけど大丈夫かと、相手が言う条件でよければ決まっているようなものだった。
「大丈夫です」
と、答えて、会社内の見学をした。
3日くらいの間で、あっという間に就職が決まってしまった。
そして、それから17年が経つ。
会社の統合とかあって会社名が変わったりはしたけれど、ずっと転職することもなく同じ会社にいる。
国家試験の勉強に本腰を入れる前にいくつか就職試験は受けた。
面接を受けて、なんか違う気がすると、どこも思った。
それでも、どこかに就職しないといけないんだと必死になって受けた。
うちの会社の面接を受けたとき、嫌な感じはしなかった。
初めて訪れた場所で知らない空気を感じたけれど、あぁ、私、ここに来るんだ、と思った。
面接をしてくれた専務や部長がとてもいい人に見えた。
就職してからたくさん接したけれど、実際にとても優しく素敵な人であった。
結局、なにも考えていなかったのかも。
17年前に、17年後の今のことなどまったく頭になかった。
先のことなど、1か月先もわからないもんだな、と思っていた。
ときどき、これから5年後、10年後のことを考えることがある。
想像してみるけれど、正直なところ、なにをしているか想像できない。
ずっと同じ会社で同じ仕事をしているかもしれないし、まったく違うことをしているかもしれない。
今と同じところに住んでいるかも、わからない。
本当は、ちゃんと計画を立てて、これからのことを考えたほうがいいんだと思うけど、私にそれは向かないこともわかっている。
しっかり考えて決めるよりも、縁や感覚を大切にしたいなと思う。
そうしたときの方が、上手くいっていることが多い。
そのために、感覚のアンテナが鈍らないようにしていたいと思う。