綱渡りの10月。

もう、11月か。


秋晴れの空を見上げていて、

太陽の光が、低く射しているなぁと感じた。

しっかりと冬に近づいている。

あっちこっちへ寄り道しているようだけど、ちゃんと季節は進んでいる。


ここのところ、感情をぎゅうぎゅうに押しこめていた。


10月は大変になる。

予測をしていた。

その予測通り、2つもやってきた台風よりも、嵐のような1ヶ月だった。

風や雨が強いときもあり、台風一過のような穏やかな日もあり。穏やかだと思えば風が強いときもあるし、今か今かと台風を待っているようなときもあった。予測不可能なことも起きた。

台風から家を守るように、自分をなんとか保とうと、マイナスオーラを封じこめた。

怒らないようにとか、疲れたとか大変だとか、なるべく言わないように。

この人ともう会いたくはない! なーんてことも思ったこともある。


ふぅ、とため息をついて、なんとかやってこれたと、嵐が過ぎ去った後を見てみたら、驚いた。


大丈夫と言い聞かせてしっかりと歩いてきた道は、綱渡りをするような道だった。

結構ギリギリのところにいた。


結果的に大丈夫だったのは、周りの人たちがいてくれたおかげ。

仕事では同僚がいて先輩や上司がいて、家には家族がいて、プライベートでは友達がいて。

支えられてるなー。


大丈夫。

そう言い聞かせて、固めたマイナスに薄っぺらい、ぺらっぺらのプラスを貼って、過ごしてきた。

それは、ハリボテだった。

私自身は、思っていたより崩れていた。


あー、もう。


マイナスだけを封じこめたつもりが、プラスまで封じこめていた。

そしてカラカラになっていた。

ドロップ缶を振ったら、ひとつだけ残っていて、カラカラと音をたてて鳴っていた。そんなカラカラ感。


感受性が乏しくなっていた。

負の感情をなるべく感じないようにしていたら、プラスの感情まで感じにくくなっていたのかもしれない。


あぁ、そうか。

だから、無性に本を読みたくなったのかもしれない。

読めるであろう数の、何倍もの本を買ってしまっているのかもしれない。


この休みは、感受性を取り戻しにいこうと思う。


大丈夫。


ほんとうの「大丈夫」が言えるようになった。