手作りお菓子の恐怖。

「一個、食べたよ」

いつのまに……。

「美味しかった?」

「まぁまぁかな」

まぁまぁって……。


母が、私の作ったクッキーをつまみ食いしたらしい。

つまみ食いをしておいて、感想が「まぁまぁ」って。

普通なら「美味しいよ」とか「いいねー」とかいうものなんじゃないだろうか。


まぁ、でも、手作りお菓子なんて、そんなものなのかもしれない。

お店で売ってるクッキーの方が断然美味しいだろうし、手作りのお菓子なんて嫌いな人からもらったら困るだけだ。

実際、もらってみたものの、「んー」と思うものもなかったわけではない。

それでも、「手作りなの! すごい!」ってほめないといけない、変なプレッシャーまで抱かなければいけないのは、ちょっと大変だ。


そう考えると、私の友達や職場の人たちは、優しいなと思う。

去年こそ、ちょっと予定が立て込んでいて作れなかったけど、毎年バレンタインにはお菓子を作って渡している。

そして、それに対して「美味しい!」って言ってくれる。

なんて素敵な人たちなんだろう。


だったら、

作らなければいいじゃん。

渡さなければいいじゃん。

って思う。

バレンタインなんて、もともと日本のお菓子業界の企てなんだし、それに乗せられているのって、少しダサい。

あ、ダサい?

ダサいこと、毎年やってる?

やばっ。


ハニカミながらもらってくれて感謝されるのをいいことに、ちょっとお菓子を渡しただけでお返しをもらえることに、いい気になってたけど、実はみんな迷惑してたらどうしよう……。

また、あいつからお菓子もらっちゃったよ。

なんか、小学生や中学生じゃないんだし、手作りってどうなの? ヤバくね?

そんな風に思われてたら、どうしよう……。



あー、でも、作っちゃったー。

これ、一人で消費するの、ムリだよー。

オーブン4回転させて焼いたよー。

午後からの時間、ずっとお菓子作ってたよー。


だから、今年も渡します。


でも、もし、迷惑だったら言ってください。

コソッとでいいので。

作るの大変じゃないですか?

来年からはいりませんよ。

って。



あ、味見しましたけど、まぁまぁ、美味しいです。


今年は、クッキーとビスコッティです。

クッキーはチョコとピーナツバターが入ってます。

ビスコッティはチョコとスライスアーモンドが入ってます。

バターは使っていないので、ザクッとした感じです。

珈琲でも、焙じ茶でも、牛乳でも、何か飲み物と一緒に食べてくださいね。ちょっと水分奪われる系なので。