きっと、恋に落ちる瞬間って、こんな感じなんだろうって思う。

ごめんなさい! ごめんなさい!!

ほんっっとぉ〜に、ごめんなさい!

私が間違っておりました。

あぁ、許してください。



昨日の朝、テレビを見ていたときのことです。

その時間、いつもは寝ている時間です。昨日は通常業務の前に仕事が入っていました。なので、少しだけ早起きをしました。

前日の夜が遅かったので、早起きが辛くて辛くて。

なんとか布団からは出たものの、ホットカーペットの上に座り、ボーッとしていました。

「あれ? 今日は早いの?」

「うん」

まだ7割は寝ていたので、家族の問いかけにも簡単な返事しかできません。

かろうじて開いていた目は、テレビの方を向いていました。

あぁ、朝ドラか。

朝ドラがやっていることを認識するのも少し時間がかかりました。

家族は毎日見ているようですが、私は月に1回くらいしか、目にしません。

だから当然のことながら、話の内容はさっぱりわかりませんでした。

家族が毎日楽しみに見ているテレビのチャンネルを替えることはできず、ただただ見ていました。

ほぼ寝ている状態なので、見ているというより、眺めている状態でした。


えっ?


眺めていただけなのですが、ふとした瞬間に、目が覚めました。

そして、次の瞬間に私は思いました。


私は間違っていた、と。


今まで、知ってはいました。

その「知っている」というのは、「あぁ、ハイハイ。知っていますよ」というくらいのものでした。

でも、間違っていることに気付くまで、それすら認識はしていませんでした。

ただの「知ったかぶり」でした。


それにしても、今までも見ていたはずなのです。

それなのに、わからなかったのは、なぜなのでしょう。


確かに、ちょっとした「ひっかかり」はありました。

道を歩いていて、「あれ? なんか落ちてた?」って5メートルくらい歩いて思うけれど、でも振り返るほどじゃないかと歩き去ってしまうくらいの「ひっかかり」。

見た目はわかんないけど、触るとざらっとしてるなってわかるくらいの「ひっかかり」。


あぁ、本当に申し訳ない。


私は完全に心を鷲掴みされました。


彼の発する声は、吐息に包まれているかのような声で、あの声で耳もとで囁かれたら、私はきっととろけてしまいそうです。

彼の目で、ちょっぴりたれ目のあのやさしい目で見つめられたら、私はきっと動けなくなってしまうでしょう。


私はたぶん、テレビの中にいた、あの彼に魔法をかけられてしまったのです。

初めて彼のことを知ってから、少し時間がかかってしまいました。

それでも魔法をかけられたのは、偶然ではなく必然なのじゃないかと思っています。



素敵です、本当に。



そんなこと知ってるよ、なんて、言わないでください。

土下座してあやまりますからっ!


えっ? 誰かって?


まぁ、いいじゃないですか。