つい、結婚したくなる

「結婚しないって!」

いやいやいやいや、そんなことは言ってないって!

会社で、同僚と話をしていたら、その同僚が他の子にそんなことを言う。

結婚したいけど、できないね。

って、そういう結論だったじゃないか。

 

この会話の発端は、社内で寿退社をする子がいら、というところからだった。

「今、結婚するんだったら、自分より稼いでる人じゃないとメリットないよね」

「確かに。そうなると、同じ年のサラリーマンじゃなダメだよね」

「うーん、まぁ、そうなるか」

あまり、人の給料には興味はないけど、私はそれなりにいただいてるとは思ってる。

じゃなきゃ、この過酷な労働に耐えられない……笑

「だったら、年上の、50代のおじさん?」

「いや、ちょっとキツイ。というか、その年代で独身って難ありだよね?」

バツがついてるとか、性格に問題があるとか」

ここで注意してほしいのは、この会話をしているのは、39歳の独身女である。

結婚をしたことのない、現在彼氏もいない2人であるということ。

自分たちのことは完全に棚に上げている。

「あとは社長とかか。でも、家族経営の会社はやめといた方がいいよ」

「奥さんが経理やってて」

「小姑……社長の娘が専務やってるとか」

「あ、奥さんいるじゃん」

「あっ」

「じゃ、ベンチャーの社長とか?」

「立ち上げたばっかだと、お金持ってなくない? 株で稼いでる人とか?」

「いやー、なんかそれはねぇ」

「そうだねぇ」

「40そこそこで、課長とか部長になった人とかいいよねー」

「うんうん。で、理想は仕事ばっかしすぎてて、結婚をしてなかった人」

「あー」

「でも、そんなのいないか」

「うん」

「じゃ、けっこんできないなー、やっぱり」

「結婚しないってー!」

 

だから、違うって。

でも、ここまで結婚してないと、このまま結婚しないのかもな、とも思ってしまう。

 

その日の深夜、私は泣いていた。

 

いつもの習慣で、Netflixを見ていた。

ERシーズン13。

 

初期メンバーは、ほとんど去ってはいる。

それでもついつい続きが気になる。

主要メンバーの行く末が、どうしても気になる。

 

幸せに手が届きそうになると、そこから目を背けてしまったり

自分から幸せを手放してしまったり

相手の幸せのために自分が身を引いてしまったり。

幸せになってもいいんだよ、と何度言われても信じられなくて。

自分は不幸の塊なのだと、超ネガティヴ。

痛みをたくさん知っているから、

本当に大変な思いをしている人にはむちゃくちゃ優しくて、

そうでない人にも優しくて。

 

そんな彼女が結婚をした。

失うことが怖いから、結婚はしたくないと言っていた。

結婚式はしたくないと言っていたのに、サプライズウェディングが行われる。

それでも結婚式はしたくないとゴネる。

指輪だってドレスだって完璧なものが用意をされているのに。

 

一つ一つのシーンが積み重なって

積み重なっているのに

ひとつひとつ剥がされていくかのように

そして、こころの真ん中に

ふわっとあたたかいものがあることを感じた。

 

あ、結婚したいかも。

 

条件とか、あれこれいうんじゃなくって

何もかもを許し合えて、わかりあえて、受け入れて

そして笑い合うことができる人ならば。

 

 

 

ま、まずは相手を見つけるところからなんだけどねー。