新しい言葉に翻弄される

ポケベルが鳴らなくて、っていう歌、あったよねー」

「え? ポケベルが故障したんですか?」

 

オーノーッッ!!!

 

少し前に、15くらい下の子と話していたときのこと。

そもそもポケベルってなんですか? から始まった。

私の高校時代はポケベル全盛期だった。

最初は営業マンとか社会人のアイテムとして普及をした。

会社から連絡を取りたいときなどに、掛けてほしい番号を送信する。

それが高校生の連絡手段として普及。

私の周りでは、高校1年のときに親友が持ったのを皮切りにたくさんの子が持ってきた。

「084ー」 おはよー

「0833」 おやすみ

「106410」 テル(電話)して

「14106」 あいしてる

文字も表記されたけれど、簡単なフレーズなら数字だけで会話できた。

最初は暗号のような数字が解読ができなくて。友達に、早見表を作ってもらったりもしたなー。

公衆電話には列ができたり、無限テレカが出てきたり。

私は欲しくて欲しくて、自分で持つ前に、当時の彼氏に持たされた。

この辺の詳しい話はまた違う機会に……。

大学に入ると、ピッチになり、携帯に。

 

あーそうか。私の3つくらい下になると、もうポケベルは現実的ではないのか。

 

現実的じゃない言葉は、わからない。

おばさんになってきた私は、カタカナ言葉が苦手だ。

ビジネス用語とか、IT用語とか。

そもそも英語が苦手なので、英語が元で、なんて言われるとなんのこっちゃなのだ。

とはいえ、会社さんとして社会人として過ごしているので、恥ずかしくない程度には知っているつもりだ。

ただ自分で使うことには抵抗があったりする。

 

わからない言葉が出てくると、ネットで調べる。

昔、お見合いした人が

「インターネットで調べてきました」

なんて言ってて、え? インターネットって言うか? って思った。ネットという言葉だって、一般的だと思ってるけど、そうではないのかもしれない。

今は、ググるって言った方がいいのか?

 

「それ、テレコになってるよ」

初めて、「テレコ」という言葉を聞いたとき、このおじさんは何を言っているんだろうと思った。

しばらくして、『オトナ語辞典』というものを手に入れて、「逆になってること」とわかって納得した。

ほかに、最近まで知らなかったのは「レジュメ」。

「次回までにレジュメを」と言われて、まず調べたのが「レジュメ」という言葉。

でも、なんで逆になってる、とか、まとめたものを作ってきて、とかって言えないのかと思った。

ちょっとできる風を見せたいのか?

 

そして昨日のこと。

 

「あなたのライフハックを教えてください」

……?

なんじゃそりゃ?

ライフハックって何さ?

日本語で言ってくれないかしら?

 

最近の言葉はわからんなー、と、とりあえず調べました。

そういうことなのか。

と知ったと同時に、2004年くらいから使われている、という記載を見つけた。

うーん。

えーっと。

すいません。

私が知らないだけでした。

ただただ無知なだけでした。

 

とりあえず、どういう意味かは覚えましたが、わかってはいません。

「これはとても美味しいものなのよ。そして栄養もたっぷりあるのよ」

と教えてもらって目の前に出てきたけど、見たことのない食べ物で全く味も想像できない感じ。

なんとか口の中に放り込んで、モグモグと咀嚼する。

少しずつ食道を通って、胃に到達するでしょう。

そして小腸で吸収されて……吸収される?

吸収してくれる?

大丈夫?

通過しちゃわない?

 

とりあえず、言葉の意味を考えることからスタートです。

ヤバイ。

 

でも、でも。

 

最近まで、カメラ用語、全然わからなかったけど少しずつわかるようになったし。

ISO感度とか、F値とか、焦点距離とか、わかるようになったし。

ちゃんとわかって、カメラを使えてると思うし。

 

新しい言葉は、どんどん生まれていく。

そして人々の中に蓄積されていく。

会社の中にいるだけだと、自分がたくさんのことを知っていて凄いんだと、勘違いをしてしまう。

いかにもできる風な態度をとってしまいがち。

外に一歩出てみると、知らないことだらけ。

歳が上だろうと下だろうと関係ない。

最近は年下の人たちから学ぶことも多い。

ときどき、私はこんなんで……ただのアホでバカなおばさんじゃないか、大丈夫かと心配にもなる。

 

でも大丈夫。

学ぼうとする気持ちは、ある。

 

頑張る。

 

……たぶん。